お知らせ

第49回日本作業療法学会「学会報告」

2015.08.11

第49回日本作業療法学会に参加して

去る6月19日から21日にかけて、神戸ポートピアホテルおよび神戸国際展示場で第49回日本作業療法学会が開催されました。

本学会は、本邦において作業療法士(以下OTR)が国家資格を有するようになって50年目を迎える節目の学会でした。学会テーマは「温故知新~五十路を還り将来を展ぶ(いそじをかえりみらいをのぶ)」と題され、臨床活動にいそしむOTRの研究発表をはじめ、アメリカ、カナダのOTRを招いてのシンポジウム、各種セミナー、公開講演、最新リハビリロボット機器展示会などが催されました。

本学会では、私も臨床研究発表を行いました。学会テーマの記すとおり、発表を通して自身の日々の臨床を省み、最新の知識に触れることで今後の展望について熟考できました。まさしく「故きを温ね新しきを知る」ことのできた学会でした。

 

学会発表から得たもの

本学会では「アウトリーチ支援中に入院した患者属性から見る入院率低減につながる支援のあり方についての後方視解析研究」といった演題で研究発表を行いました。

ここで、研究テーマである「アウトリーチ支援」について少々説明いたします。近年、精神保健福祉ビジョンの改革に伴い「病院中心から地域背かつ中心へ」というスローガンが掲げられ、精神障害を持つ人々が地域の中で生き生きと生活していくための施策について検討され始めています。「アウトリーチ支援」もその一つです。これは、精神科臨床に携わる臨床家が、精神障碍者のご自宅等に訪問し「医療・保健・福祉の包括サービス」を「生活の場に届ける」ことを指します。地域精神科医療福祉の先進国では普及している支援形態であり、医療中断者や重症者が地域生活を継続するために有効な支援方法とされます。

本研究は、アウトリーチ支援中にも関わらず入院に至る方の特徴(属性)をとらえることができれば、再入院防止に役立つアプローチをこうあんできるのではないか、という視点で実施した第一歩目の調査研究です。本研究の詳細については、精神科専門雑誌への投稿を予定しており、ここでは割愛させていただきます。

学会発表を行ったことで、臨床活動を行う上で有益なヒントを得ることができました。今回得たものを臨床に生かし、患者様にとってより質の高いアウトリーチ支援が展開できるよう尽力したいと考えています。

 

医療社会事業部 作業療法士 真下 いずみ

▲PAGE TOP