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心理課主催 第4回認知行動療法ワークショップ開催報告

2016.07.06

心理課主催 第4回認知行動療法ワークショップ開催報告

去る5月22日(日)に、長岡病院心理課主催の第4回認知行動療法ワークショップを開催した。今回のテーマは「模擬面接とロールプレイで学ぶCBT」で、講師は筆者と西川公平先生(CBTセンター所長)が務めた。心理士や看護師を中心に54名の参加があった。

 

心理教育のロールプレイ

午前中は、まず筆者が認知行動療法の概要を説明した。そのうえで、山出心理士が患者さまに認知行動療法を説明する場面を模擬面接として実演した。参加者からは、「相手の体験をもとに説明していて分かりやすかった」「相手が理解しているかどうかを確認しながら進めていたのがよかった」などの感想が出た。この模擬面接を踏まえて、3名1組でセラピスト役、患者役、オブザーバーに分かれて、ロールプレイをした。午前中の残りの時間は、認知行動療法の基本原則の一つである共同的経験主義を説明した。これは、セラピストと患者さまが一緒になって、事実(データ)をもとにして考え、事実で仮説を検証していくあり方を指す。ここから認知行動療法においては、自分で自分についての事実を観察すること(セルフ・モニタリング)が重要視されることになる。

 

2名のセラピストによるロールプレイ

午後からは西川先生が担当した。参加者それぞれに、自分が対応に困っているケースをカードに書いていただいた。そのうえで、また3名1組になって、1名が自分のカードに書いた患者役をやり、残り2名は10分ずつ、セラピスト役として順に面接を行うという形式のロールプレイを行った。西川先生によると、セラピストが交代することで文脈が変わり、異なった展開となることを体験してほしいということであった。計20分のロールプレイ後のアンケートで、今の面接がよかったと思う患者役は8名いたのに対して、うまくいったと思うセラピスト役は0名だった。セラピストはうまくいっていないと思っても、患者さまは満足されているケースがあるということがわかって興味深かった。

 

全員の前での模擬面接

ロールプレイの後は、今の患者役の中から1名が前に出て、その患者役に対して抽選で選ばれた人がセラピスト役として次々に面接を行っていくという形で模擬面接を行った。なかなか認知行動療法の流れに乗せられない面接が続いたので、西川先生が適宜、助言をされた。計3名の患者役に対して模擬面接を行ったが、最後は筆者か西川先生がしめる形となった。西川先生は、ターゲットとなる認知や行動を非常に的確に絞り込み、それをセルフ・モニタリングする課題を出されていた。アンケートにも、「西川先生、若井先生のロールプレイが見られてよかったです」との記述があり、観察学習の機会を提供できたと考える。

 

次回の予定

次回は7月24日(日)に、昨年好評をいただいた「マインドフルネスを体験しよう」というテーマで、再度研修会を行う。マインドフルネスを実際に体験し、体験を共有できるような場にしたいと思う。

 

文:若井貴史(医療社会事業部 心理課係長 臨床心理士)

西川公平先生(右)

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