お知らせ

第19回 認知行動療法ワークショップ開催報告

2019.03.14

第19回 認知行動療法ワークショップ開催報告

医療社会事業部 臨床心理士 青野紘子

2018年12月23日(日)に、福知山市民病院の宮 裕昭先生をお招きして、第19回認知行動療法ワークショップを開催しました。当日は、50名を超える参加があり、応用行動分析学の基本から臨床での適応方法まで、事例を通して理解できるようご指導いただきました。

・応用行動分析学とは

行動分析学とは、動物を使った実験によって、動物の行動を増やしたり減らしたりする原理を研究するものです。その原理を人間の行動に応用して、行動の問題を解決していくための学問が応用行動分析学です。応用行動分析学の技法を使えば、日常生活での行動を改善したり、環境に適応するための技能(スキル)を獲得したりすることができるようになります。行動分析学が明らかにした基本的な行動の原理はシンプルです。ある行動をとった直後にメリットが生じると、同じような状況でその行動が増加し、デメリットが生じると、その行動の回数は減少します。専門用語では、行動が増えることを「強化」といい、行動が減ることを「罰」や「弱化」と呼びます。行動しても何も生じない場合は、その行動は徐々に減少していきます。これを「消去」といいます。行動の基本的なメカニズムはこれだけなのですが、ほかにも、行動の直前の環境をどのように整えれば、その行動をコントロールできるかというような研究もなされています。

・臨床での適応方法

応用行動分析学は、教育や医療、介護など多方面の領域で、たとえば、不登校や拒食、自傷行動や認知症の方のBPSD(行動・心理症状)などの習慣化された行動に対して適用されています。応用行動分析では、習慣化された行動は、行動を起こして得られた結果によって維持されていると考えます。したがって、改善したい行動の背景には、必ず行動後に得られた経験が存在します。これらを、よく観察して見つけ出し、不適切な行動を起こしても望んでいる経験が得られないように、あるいは、別の適切な行動で得られるように環境調整することで、行動変容していきます。

・事例検討

講義後、参加者2名から提供の事例について、参加者同士のグループ討論を行い、そのあとに宮先生に応用行動分析の見地からアドバイスをいただきました。行動変容のために、まずは本人や家族、カウンセラー自身が納得できる仮説を立てることが重要なこと、そのために細やかな情報が必要であること、また、情報収集の際には、「何がそうさせるのか」目に見える具体的な環境刺激を問うことが大切であることを学びました。

・むすび

今回は、応用行動分析学について宮先生から臨床経験に基づいた実践的な適応法を学ぶ機会となり、参加者の方々からも高評価を得ることができました。今後も、参加者の方々の臨床でお役に立てるような研修を立案してまいります。ぜひご参加ください。

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