脳梗塞による片麻痺があるため話し方はゆっくりで、発語はやや不明瞭です。そのためKさんは自宅でも通所先でも、会話の機会は自然と少なくなります。

  元々話し好きなKさんにとって、そのような状況は少しつらいようです。そのためか、訪問リハビリが始まると私には自分からよく話しかけてこられます。話し始めはいつも発語が不明瞭で、話の速さもかなりゆっくりです。しかし会話を続けていると、発語は徐々にはっきりしてきて、話す速さも速くなってきます。そして趣味や旅行のお話など、話題がどんどん広がりながら会話は続きます。リハビリが終わる頃には表情までずいぶんと活気づいてきます。

  他人に気を遣う、あるいは他人と話をするというのは、脳の良い刺激になるといわれています。特にお話し好きの方にとっては、会話を脳の活性化の機会として活かさない手はありません。高齢者にとって少なくなりがちのコミュニケーション。訪問リハビリという時間が、お役に立てると幸いです。　

（OT　伊藤）