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CBTコラム①

2014.09.22

認知行動療法とは

当院心理課では、認知行動療法(cognitive behavior therapy : CBT)に力を入れています。本コラムではCBTの理論や各種の技法の紹介を行っていきます。

今回は、CBTとは何かという概略を説明します。

CBTとは、認知と行動に働きかけることによって患者さまの困りごとを軽減・解消しようとする心理療法のことです。ここでいう認知とは、物事のとらえ方のことを意味します。ある状況で頭に浮かぶ思考やイメージといってもよいです。

実際、患者さまの困りごとは、認知や行動に働きかけて、これを変えていくことによって解消することが多いのです。ごく単純な例として、気分がひどく落ち込んでつらいという学生のケースを考えてみましょう。この方は、友人にメールを送ったのに返信がないという状況で、「誰も気にかけてくれない」と考えて悲しい気分になっており、外出もせずに1日中ベッドで過ごしているとします。この場合、「誰も気にかけてくれない」という悲観的な認知や、1日中ベッドで過ごすという行動が、悲しい気分に関連していると思われます。そこで、同じ状況に対して自分が楽になる別のとらえ方(認知)ができないか探ったり、何か楽しめる活動(行動)をやってみたりして、悲しい気分がどの程度軽減するかを検証します。

このようにCBTでは、まずは困りごとと認知や行動がどのように関連しているかをしっかりと調べます。その上で、変えられそうな認知や行動を特定して、変えられそうなところから変えることによって、困りごとの解消を図っていきます。認知や行動を変えるための技法が数多くありますので、われわれ心理士は、一人一人の患者さまに合わせて適切なものを選択し、実施していくことになります。

CBTはうつや不安の軽減に効果があることが分かっています。うつ病や強迫性障害、パニック障害などと診断されている方には有効であるケースが多いです。それだけでなく、過食や自傷行為、依存症や不眠などの問題に効果があることが分かっています。これらについては、いずれ、本コラムで詳しく説明していきたいと思っております。

 

文責:若井貴史(臨床心理士)

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