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心理課主催 第5回認知行動療法ワークショップ開催報告

2016.09.20

心理課主催 第5回 認知行動療法ワークショップ開催報告

私たちは、普段、さまざまなことに思考を巡らせながら日常生活を送っている。確かに、忙しい現代社会で生きている私たちにとって、何かをしながら別のことを考えるのは日常茶飯事である。しかし、少し一息ついて「今、ここ」にある瞬間を感じ取ってみるのもよいのではないだろうか。7月24日に、そのような「今、この瞬間」に注意を向け続ける瞑想である「マインドフルネス」の研修会を開催した。心理課係長の若井貴史が講師を務め、会場の体育館には、100名以上の医師や心理士、看護師などの専門職が集まった。

 

・マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、意図的に「今、この瞬間」に注意を向け、何の価値判断もせずに、受け止める、そういった注意の向け方のことである。マインドフルネスは、嫌なこと、不安なことを何度も反芻してしまう人や、衝動的に何かをしてしまう人に効果的な手法である。

 

・研修の流れ

体育館で、まずは、「呼吸のマインドフルネス」の講義を始めた。今まさに行っている呼吸に注意を向け、ただただそれを観察する。もし注意が逸れてしまってもそのことを責めない。心を「今、ここ」にとどめられるよう、静かに呼吸に注意を戻す、それがマインドフルネスの訓練の第一歩である。

午後からは、「レーズンエクササイズ」と呼ばれるワークを実施した。これは、一粒のレーズンを指で触れ、においを嗅ぎ、唇に含み、舌で味わうなど、五感をフルに活用して、ゆっくりと味わうワークである。ワーク後は、参加者が気づきを発表した。「飲み込みそうになる衝動をなんとか抑えた」「よだれが出てくるのを実感した」など、自身の体験を語り合い、気づきを共有し合った。

要領が飲み込めてきた時点で、いくつものワークを行った。「歩くマインドフルネス」では、文字どおり、一歩一歩をゆっくりと丁寧に、マインドフルネスに歩き進めた。「ボディスキャン」では、寝転がり、音声ガイダンスに従って、普段はほとんど気にも留めていない身体感覚へと深く深く集中した。「音のマインドフルネス」では、電車や虫の音、さざ波の音など雑多に流れる音の一つ一つに注意を移す訓練をした。二人一組になり「相手の呼吸を感じるエクササイズ」を行った頃には、皆さんすっかり打ち解けてご自身の気づきを発表していた。

 

・上達を実感

最後に、冒頭で行った「呼吸のマインドフルネス」を実施して終了した。後日、アンケートを拝見すると、1日を通してさまざまなマインドフルネスの訓練を行ったことで、「最初よりも呼吸への集中が楽にできるようになった」という感想が多数あった。

このような実りあるマインドフルネスのプログラムを、近々ストレスケア病棟でも実施したいと考えている。興味のある方にご利用いただけると幸いである。

 

・次回のワークショップについて

次回は、9月25日に「基礎心理学の活かし方」というテーマで開催予定である。参加者にご満足いただけるような研修会にしたいと思う。

 

医療社会事業部 心理課 臨床心理士 青野 紘子

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