お知らせ

第13回 当事者研究全国交流会

2017.01.23

第13回 当事者研究全国交流会~弱さの万国博覧会 in OSAKA~

当事者研究は、北海道浦河町にある「べてるの家」で2001年から取り組まれているエンパワメント・アプローチであり、地域で暮らす当事者の生活経験の蓄積から生まれた自助(自分自身の助け方・励まし方・活かし方)と自治(自己治療・自己統治)のツールである。

当事者自身が抱えるさまざまな生き辛さについて「大切な苦労」として捉え、仲間や関係者と連携して「研究」を行い、「自分自身の専門家」として自分自身の助け方の理解や創造をしていくプログラムである。

2015年には東京大学先端科学技術研究センターに当事者研究の研究室が開設され、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの心のバリアフリーに向けて当事者研究を活用する動きもあり、今後ますます当事者研究に対する注目が高くなることが予想される。

10月9日(日)に大阪大学豊中キャンパスにおいて、第13回 当事者研究全国交流会が開催された。全国各地から400名を超える当事者・支援者が集まり、会場は満席で急遽2階席が開放されても立ち見がでるほどであった。

交流会は、サザンオールスターズの『勝手にシンドバッド』の替え歌で、べてるの家のメンバー作『勝手にしんどい幻聴さん』の演奏で始まり、会場は明るい雰囲気と笑いに包まれた。 続いて、パワーポイントや画像を用いて、自身の苦労や研究の結果わかったことや苦労の対処法について当事者研究発表が行われた。

午前・午後の部を合わせて16の研究結果が発表された。現実逃避も前向きな効能があることがわかった研究、夫婦で取り組んだ研究、「支援者側も実は病気なのでは?」というテーマの研究等があり、どれも興味を引くものばかりだった。

各研究発表後の意見交換では、来場者からのさまざまな質問や提案とともに、「自身の支援方法を他の支援者に教えてあげればよい」という意見等も飛び出し、時間内に収まらない様子であった。

ゆっくりと休むことができる「ひきこもり部屋」や一人になりたい際に利用できるスペースも用意されていた。講義中の出入りや休憩は自由で、しんどくなれば休むことが推奨されていたこともあり、これらの部屋の利用も多数あった。また、研究発表のライブ映像配信も行われており、休みながらでも観ることができるよう配慮されていた。会場には、ポスターによる発表の場やギャラリー(当事者作の絵や詩の展示)、発達さん擬似体験コーナー(発達障害の疑似体験)等も設けられていた。

昼休みにも間断なくトークイベントやリアルタイム当事者研究ワークショップが開催され、一日中当事者研究に浸り、学ぶことができた。有意義な一日であった。

 

文責:医療社会事業課 精神保健福祉士 池野 雅一

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