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第10回認知行動療法ワークショップ開催報告

2017.12.11

第10回認知行動療法ワークショップ開催報告

当院主催の第10回認知行動療法ワークショップを6 月25日に開催しました。今回は「事例検討とロールプレイ」をテーマに、強迫性障害に対する認知行動療法の基礎を扱いました。当院心理課の若井貴史と山出健博が講師を務め、47名の専門職の方々にお越しいただきました。

強迫性障害について

強迫性障害とは、強迫観念(繰り返ししつこく浮かぶ考えやイメージ)から沸き起こる不安や恐怖を軽くするために、強迫行為(手を洗う、鍵や電気のスイッチを確認してしまうなど)を繰り返してしまうという症状を特徴とした障害です。一般人口の100 人中2 人がこの疾患に罹患することがあるとされています。今回のワークショップでは、この強迫性障害に効果があるとされている認知行動療法の一技法、「曝露反応妨害法(Exposure and response prevention:以下、ERP)」を主に取り上げました。ERPとは、恐怖や不快感を呼び起こす体験にあえてさらし、その状態のままで強迫行為をせずに過ごすことを意味します。

事例検討

午前中は、山出心理士による事例提供を通して、強迫性障害に対する認知行動療法が心理面接の中でどのように実施されているのかを紹介しました。ERPを導入するにあたり、①最初のカウンセリングで何を確認しておくのか、②どのようにERPを説明し、患者さまと協力しながら治療の方向性を決めていくのか、③日常生活にERPを適用していくにあたって、何を原則にホームワークを設定するのかなどについて、当院で実際に提供した方法を発表しました。その後、参加者同士で「自分たちならどのような介入を行うか」についてグループディスカッションを行い、よりよい支援について話し合っていただきました。

ロールプレイ

午後からは、午前に提供された事例を基にして、ERPの心理教育や課題の実施などのロールプレイを行いました。参加者は3 人1 組で、“ カウンセラー・患者・観察者”という役割を体験し、どう感じたか、どこがよかったのかを共有しました。患者役をした方から、「クライエントに負担をかける面もあるということが体験できたので、治療の意味、効果、責任などをカウンセラーが重々理解して行わないといけないと感じた」とのご意見がありました。治療に対する姿勢についても考え直す機会となったようです。

まとめ

全体の感想には、「ロールプレイもあるので、体験的に学べてありがたい」「事例や説明、モデルがあったので、ワークがやりやすかった」というものがありました。ワークショップで実践的に認知行動療法の運用の仕方を学んでいただけたのではないかと思います。

 

文責:医療社会事業部心理課 臨床心理士 青野 紘子

第10回CBTワークショップ

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